PORSCHE Boxster Spyder and Cayman GT4

ナローポルシェホイール レストアプロジェクト..........






先日.............友人のジェフベッキーことベキ子さんから、ナローのホイールのレストアに付き合ってくれとの相談があり………


それは、面白そうだなと…………



1970年代の、最高のホイール技術であろう、ポルシェ純正の鍛造ホイール……

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ドイツのオットー・フックス社によるそのホイールは、現代においても、恐ろしく軽く、いかにも丈夫そうです..............


今、目の前にあるホイールが、オリジナルのままなのか、それとも、この40年の間に、手を加えられたのかは、わかりません................


しかし、ほぼこんな感じだと……………


実物の新品を見たことがないので、まったくわかりませんが…………


今回は、レストアなので、1から作り直すわけではなく、現物の表面的なもの、“見た目の仕上げをやり直す”ということです………


私自身、ナローのフックスホイールについて、ほとんど知識がなく、ベキ子さん曰く、

“ 表面およびリムはアルマイトで、ほかの黒い部分は塗装で仕上げてある ”

とのことでした……………


そして、6本所有しているそのフックスホイールをすべて、オリジナルの仕上げに限りなく近づけたい…………


ということでした…………



私の個人的な考えでは、40年前の表面仕上げは、現代に比べて、かなり劣っていること……そして、現代において、もし同じような外観を施すならば、より良い方法で、より優れた性能を持たせるべきではないかと…………


そう思います……………

ポルシェが採用したのですから、当時では最高レベル……そして、その時代では、一番間違いがなかった方法………だったに違いありません…………


しかし、今ならば、同じ外観で、より強く、劣化が少なく美観を保てる違う方法もあります………


私の個人的なものでしたら、間違いなく、その方向で仕上げます………


しかし、今回はベキ子さんのものなので……………


また、オリジナリティーを大切にし、年数とともに少しずつ朽ちていく……そういう味まで欲しいと……


いわゆる“滅びの美学”さえも求めているということなので………………





ということで…………


フックスホイールレストア プロジェクト 開始です……………



まず、塗装用の剥離剤の中にホイールを漬け込みます……………………

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ある程度、剥がれたところで、こびりついている塗膜をブラシ等でこすりながら水で洗い流します………………

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この時点で、ある程度、アルマイトも剥がれているかもしれないと思っていましたが、導通をとってみると、電気が流れません……………


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アルマイトは一種の酸化被膜なので不導体です…………

ですから、アルマイトが残っている部分は、電気が通りません…………


リム部は、比較的あっさり電気が通りましたが、正面の光沢部はまったく通りません………


ということで、今度は、苛性ソーダで、アルマイトの除去にかかります。80度ぐらいの温度をかけた苛性ソーダは、アルマイト膜を一気に取り除いてしまいます…………

瞬殺です…………

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いつも、思うのですが、アルカリは、酸よりも怖い…………………



塩酸などの酸は、理科の実験で比較的身近に接したことがあると思いますが、本当に怖いのはアルカリです………………


どこかで、出会ったら、十分に気を付けてください………会わないか(^_^;)





ここで、問題です………


古いホイールなので、結構傷が多く………深い傷に対して、そこに、アルミを盛って仕上げるかというところです……………



アルマイトは、アルミニウムを陽極で電解し、酸化させた、いわゆる酸化被膜です。


この陽極酸化によって作り出された皮膜は、非常に高硬度なため、少々な擦り傷などにはびくともしません………

しかし、さすがに、ガリ傷や、打痕などは、本体のアルミそのものがやられてしまうため、傷が残ってしまいます…………

その箇所に、アルミを盛って、仕上げてみるかどうか…………



その手のことは、非常に簡単にできる環境にいますが…………



ただし、十中八九、その場所は素材の違いや、熱による物質の変化により、シミになったり、違う表面状態になるでしょう…………


コーティングの塗装と違い、アルマイトはあくまで表面処理なので、素材そのものの性質の違いによる変化は著しいものがあります…………また、素材の違いによる仕上がりが表面に素直に現れます………


さらに、長年の使用によって、よく見ると、表面が腐食し、錆による巣穴がたくさん空いています…………



ある程度、研磨と磨きで仕上げたほうが無難か…………?







とまあ、ここまで考えて……………



先に、アルマイトが剥離された素材の一部を磨いてみることにします………

どんな感じか………………



500番、1000番、2000番の、耐水ペーパーで、研いで………

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機械工具を使って、コンパウンドで磨いてみます…………

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さらに、もうちょっと............仕上げ剤で磨き上げてみます……………

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いい感じ(^^♪……………


結構いいかも~……………(^.^)………



ペーパー仕上げは、そこそこで、磨きで仕上げたほうがダメージが少なそうな気がします.....



アルマイト処理というのは、現代においては、いろいろな種類があり、白や、黒をはじめとしたものから他の色や艶消しや、艶ありや……………


もう何でもありです……………



とりあえず、本人がイメージしている出来栄えに近づくようにするために、また、だいたいのめどをつけるため、想像を働かせて磨き上げ、一度、アルマイトをかけてみて、出来栄えを見てから、残りのホイールの方向性を決めて、すべて仕上げようと思っています………………



しかし、実際は、当時のものの材質さえわからないので、試行錯誤です……………



こういうものは1から作ると、今持っている経験値でやることができ、また、ほとんど予想を立てて、やっていくことができるので、比較的簡単なのですが、当時のものをやり直すということになると、すべて、やりながら、その変化に対応していくという手段しかないので大変です…………


あらかじめ、いろいろとインターネット等で調べたりはしますが..............


インターネットというツールは、便利ですが、人の言葉を借りて語る人間がほとんどで、間違いだらけだと思っています………



ですから、ある程度の情報は参考にはできますが、100%信じるわけにはいきません...........また、表面処理という分野は、非常に奥が深く複雑なので、使っている薬品の種類や、その会社のやり方、経験値によって、出来栄えは、かなり左右されます............


また、ナローの資料などをネット経由で探しても、ものの材質や、表面処理の資料などは、あくまで、当時の基準をもとにこうであるということを書いているので、現代の規格や、やり方にマッチしていなければ、まったく違うこともあります…………

現代においては、アルミの種類でさえ1000番台から7000番台まであり、また、鍛造という手法が、今と昔では、機械の性能もやり方もまったく違うので、多分材質も違うだろうと………


そういう予想は立てれど、今、目の前にある現物は、さらに、当時の表面処理技術で出来上がっているので、劣化も激しく、

あくまで...........

40年前に当時の技術で造られ、そして、少しずつ劣化してきたものを新たにその部分を取り除いてから、ダメージを受けたアルミを仕上げていくという…………



しかも、途中、何かしらの手を加えられている可能性もあると……


要は!やってみなければ、わからないだろう(^_^;)………………


ということです………………(*^^)v



ただ、私の場合、車業界の人間ではありませんが、材質や表面処理、加工、製造においては、無茶苦茶強い立ち位置にいるので、あらゆる手段、人脈を使って、基本的には間違いのない方法で行なおうと………

そう、思いました…………


それは、そのことによって、素材自体が、極端なダメージを負ってしまったり、仕上げたのに、すぐにダメになってしまったりと………


見た目だけのレストアにこだわって、素材自体の性能が劣化していっては、もともこもないと思うので…………

そういうことは、極力避けたいと…………



私的には、内容を知らないで、表面的な見栄えだけで、仕上げてはいけないなと思います………



何故なら………それが、ポルシェという車に履くホイールだからです…………




ここまでやってみてわかりましたが、本来ならば、とても素人の手を出す次元ではないなと………


それは、あくまで、素材の性能ダウンなどを極力避けて、きちんとやるということを前提とした考えですが…………………




今回は、思いっきり、wbsワールドで、動いていますので……………

基本的にはお金はかかっていませんが………

綺麗なレストア品が¥50000/本ぐらいするというのはうなずけます…………



安いぐらいですね…………



なぜなら、これらの作業をやるために使用する設備や、工数、技術、経験値を、一か所でまかなうことはできないからです…………


重ね重ね言いますが、あくまで、完璧を目指してやるならば……ということですが……………




今後は、白の艶消しのアルマイトを施して、アルマイトを10ミクロンぐらいのせる予定です……………



アルマイト処理は、トータルの膜厚の2/3が素材の中に含浸され、1/3が表面を覆います…………

そういうようなイメージでとらえてもらえば、間違いないと思います………


また、基本的には、ハチの巣状の6角形の形をした形状になるので..............

つまり、ミクロの世界では、表面は6角柱の柱が、たくさん立っているような感じです………


さらに、中心に穴が開いているので、そこを埋めるための封孔処理も施します……


そこまでやらなければ、その部分から、腐食が進みますし、汚れもたまってしまいます……


その後、アルマイト部をマスキングして、全体を黒の半艶で塗装しようと思っています……


やたら、手間のかかる、それでも、生産効率を考えたこの方法…………


しかし、本来の考え方としては、絶対的に正解ではないと思っています…………


何故なら、アルマイトは酸化被膜なので、厳密にいうとその上には有機皮膜(塗装)は、酸化被膜の上にのせる.....ということで、安定しません……

剥離しやすい条件ということになります………


ですから、本来ならば塗装下地を作り、全体を塗装して、アルマイトをする部分を削って、その個所をアルマイトするというやり方が正解です………


しかしそうすると、アルマイトをやる前の下地処理で、塗装がおかされたり………

塗装をしてから表面を削りだし、アルミ表面を出してから、アルマイトをするという行為では、削る過程で、塗装を傷つけたりと…………



いろいろ不具合が出ます………………



しかしながら....................どの世界にも、不思議な抜け道があるので、今回は、アルマイト後に塗装、という形をとります………






ここで、ポルシェセンターのメカニックのOさんに会いに行き、本物のナローのホイールってどう?

という質問をしてみました………




(何が問題って、私が、新品のナローホイールの状態を知らないこと(^_^;)!!)



すると…………

比較的綺麗な、後から手をかけていないだろうと思われるホイールは、アルマイトと思われる部分と塗装の境界面がマスキングをした感じではなく、ぼけていて、削って、磨いたようになっているというコメントをもらいました………(・_;)…………


さらに、現状のホイールの裏側を見てみると、いかにも塗装につけましたという、エアポケット…………いわゆる空気だまりの跡があります…………

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写真のホイールは、以前にベキ子さんが後から内側を塗装してあるので、わかりづらいですが、確かに、エアポケットの跡が見受けられます.................




これも、私の個人的な想像ですが…………


フックス社製のナローホイールは、鍛造品として造られた後に、アルミ用の塗装下地用の表面処理をし、もしくはそのままの状態で、アルミ用の塗料につけこんで、焼き付け、もしくは自然乾燥をし、その後、アルマイトを施す部分を削りだし、その面に、アルマイト処理を施す…………

という...............


思いっきり手間のかかる方法を取ったのではないかと…………


やり方としては、素材の特徴、表面処理、塗装、アルマイトと、すべて理解したうえで、効率さえ、考えなければ、



まったくもって正解です……………



しかし、現在の日本の生産効率重視のやり方では、こういう風には、やらないと思います………



が!.................本当に……すごいと思います………………


物事の考え方として、基本に忠実で、そして、間違いがないというか………


私自身、ものづくりの、ある分野においては、日本でも屈指のポジションにいると思っていますが、


その内容や、取り組み方、そのこだわり…………



生産効率や、コスト、汎用性から考えると、今の日本人のものづくりのスタイルより、はるかに、物に対しての姿勢が真摯であり、美しいと思います……………



あるいは、日本においても、昔はそうだったのかもしれませんが………



日本の物づくりは、世界一だと信じていましたが、こういう40年も前に造られた、本気な姿勢の一品.............

しかも、ある程度の量産品でありながら、生産効率よりも基本姿勢を貫くという…………………



そういうものを目の前にすると…………

いつしか、生産効率というほうが大切になっていってしまって、ゆっくりと本質を見誤り、大きく道をそれてきてしまった現在の日本のものづくりを…………



我々自身も、いつの間にか、効率ばかりを求め、大切な何かをどこかに置き忘れているのではないかと……………


何十年も前に造られた、至高の一品を前に、そういった思いをめぐらさないわけにはいきませんでした…………






話は、プロジェクトに戻り…………

とりあえず二本仕上げてみようと………………



ベキ子さん曰く、

“なるべく、艶がひけていて、あまりピカピカじゃないほうがいいと……”



磨きに関しては、自分でやるというので…………………


とりあえず…………………

ベキ子さんなりの好みの仕上げで…………………

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ある程度のところで磨きを止めて..............



アルマイトを除去した状態で、かなり長年の時を経た腐食あと(巣穴)が見受けられ..........

これは、かなり研ぎこんでいかないと、落とせないなと……………

1000ミクロン、もしくは、それ以上、削るようかなと…………

しかし、そこまで表面を削るのかと……………



実際、ベキ子さんの磨き方では、腐食による巣穴は、ほとんど除去することはできず………

しかし、本人的な仕上がり感としては、こんな感じから、少し艶が引けた感じでと………

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アルマイトをすると、艶が少し引けますので、仕上がり感はやってみて、認識するとして、私の予想では、この巣穴は消えないだろうと.............


その認識のもと、まず、やるだけやってみて、次の方向性を決めて行こうと…………



で………………

ホワイトアルマイト後の状態………

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表面の仕上がり感、雰囲気は、本人はとても満足しているようですが………


ほぼ理想通りだと………………



私的には、もう少し、磨き上げて艶を出してからアルマイトのほうがいいのではと思いましたが、これは、個人の好みなので…………


しかし、問題は、やはり消えない巣穴です…………………



見た目に、巣穴があっても、アルマイトを施した以上、それは、見た目だけの問題になります……………


ここからは、ベキ子さんの判断ですが………



思いっきりホイール表面を削って、巣穴を目立たなくしてアルマイトをするか、それとも、巣穴は、ある程度目をつぶって、そのまま仕上げるか…………


どこまでのクオリティーで仕上げるのか………………………


ベキ子さんの意見は.....................

巣穴を完全に削り込んで、無くし、それから、アルマイトをしたいと………


そうなってくると、ここまでの巣穴を完全にバランスよく除去するには、ベキ子さんの手を離れ………………また、プロの手に.........



ベキ子さんのやることないじゃん!!(^_^;)………………………



ということになってしまいます………………………





とここで!!!




いや~!この物語、長すぎ!!!(>_<)!!





ここまで、付き合ってくれた人は、とても、根気がある人だと思います............


つまらない文章に付き合っていただき、ありがとうございます(*^_^*)..................



で!!



ナローポルシェ ホイールレストア プロジェクトⅡに続く………………………(>_<)!!


Ⅱ  http://porschewbs.exblog.jp/16078589



Ⅲ   http://porschewbs.exblog.jp/16347100
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by porschewbs | 2011-07-19 18:39 | ポルシェ | Comments(4)
Commented by nurutto。 at 2011-07-19 21:52 x
ぶはぁ~、食後に読むには堪えますなぁ(^^;

で、「とここで!!!」がどこか気になりますwww
Commented by porschewbs at 2011-07-20 07:31
nuruttoさん おはようございます

経過を、毎回レポートでまとめていたので、長くなってしまいました(^_^;)
お付き合いいただき、ありがとうございます。
やりながらのリアルな感想を残しておきたかったので、レポート化しましたが、ブログにはきつい長さですね(^_^;)
Commented by Kaz987 at 2011-07-20 21:44 x
思わず、読みふけってしまいました。
すごい世界です、
それにしても、wbsさんって何者なのですか?
Commented by porschewbs at 2011-07-20 22:04
Kaz987さん こんばんは~

すいません(>_<)!今回長すぎて、反省してます(>_<)!!
ブログというのは、あまり文字が多すぎるのはよくないと思っているのですが、こういう、非常に、興味をそそられる出来事や、探求していく事柄には、思ったことや、考えていたことを、逐一、書き留めていってしまうので、こんなになってしまいました(^_^;)

でも、本当は、書きたいことや、考えたことは、この5倍ぐらいあるんですよ(@_@;)

私は.........

物づくりが大好きなただのポルシェ乗りです(^_^;)
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